世界史の論述演習を担当するようになってから、様々な大学の問題を見るようになりましたが、最高峰はやはり東京大学ですね。
豊富な知識はもちろんのこと、情報を整理し、論点に即して文章を構成する力や、限られた字数の中で、過不足なく要求に応える力が問われます。
また、近頃は“東大”がブランド化し、東大生であることがよりステータスのようになっていますが、東大の名に惑わされて、入試問題がものすごく難しいように思われがちです。
もちろん先に述べたように簡単ではありませんが、突き詰めていくと非常に面白い問題が多いのが東大です。
この記事では、東大受験を目指す人向けの世界史勉強法を紹介します。
・東大受験に世界史で挑む人
・受験に関係なく、世界史を深く勉強したい人
・東大世界史で合格点を取る
・世界史の出来事に対して、自分なりの解釈ができるようになる
世界史の勉強法【東大向け】
東大世界史の構成

まずは東大世界史の問題構成を見ておきましょう。
- 第一問 600字程度の大論述
- 第二問 90〜150字の中小論述数問
- 第三問 短答問題10問
合計60点 約75分
となっています。
東大の入試では、地歴から2科目選択し、制限時間が150分なので世界史だけだと75分がおおよその目安になります。
各大問の配点は公開されておらず、単純に20点ずつではなく、第一問の配点が高めだと考えられています。
合格ラインとしては、他教科の成績にもよりますが、おおよそ40点あたりになるでしょう。
基礎知識を詰め込む
勉強法を見ていきましょう。
勉強の第一段階は、当たり前ですが基礎知識を詰め込みましょう。
東大合格を目指すからといって、難しい用語を際限なく覚える必要はありません。
基礎の基礎を正確に覚えていきましょう。
東大を目指す人であれば、一通りの通史はこなしているかと思いますが、まだほとんど手をつけていないという人は、次の記事を参考にしてみてください。
知識ゼロからの勉強法をまとめています。
では、ある程度の教科書内容は頭に入っているという前提で話を進めます。
東大受験において、覚えておかねばならない用語はそれほど多くはありません。
センター試験で9割を目指す勉強をしてれば十分です。
用語集の頻度1,2のものを片っ端から書きなぐって覚えるなんていうガリ勉は時間の無駄です。
東大の問題の特性を見なければなりません。
東大世界史で重要なのは、単に用語を覚えているだけでなく、理解しているかが重要になります。
そこですべき学習は、逆向き一問一答です。
一問一答形式の問題を普通に解くならば、
問題 → 解答
となるのですが、逆向き一問一答では
問題 ← 解答
と問題を見ていきます。
この方法の利点は、単なる暗記に止まらず、用語の深い理解につながります。
一問一答の問題集は市販のものであればどれでもいいでしょう。
東進や山川が定番ですが、最近はZ会からもいい一問一答がでましたね。
第一問の対策
基礎知識を埋めながら、各大問ごとに対策を練っていきましょう。
第一問は先述したように、600字程度の大論述です。
最新の2019年度は例年より60字多い660字論述になっていましたが、ここ数年は600字が基本です。
東大は解答用紙の行数で字数を指定してきます。
一行30字の何行かで字数が決まりますので、変更も30字単位になります。
テーマは多岐に渡り、一点狙いはリスキーすぎます。
おおまかに3パターンに分けられ、
- 一国 or 一地域の歴史を数世紀分
- 同時代他地域の比較
- テーマ史論述
の3つが中心になります。
近年では、
- 2017年 ローマ帝国と漢帝国の比較
- 2018年 女性の権利の拡大
- 2019年 オスマン帝国の解体
と上記のパターンになっています。
どのパターンでも、複数のアクターが登場し、幅広い視点が求められます。
このような大論述の対策をどう立てるかですが、ズバリ過去問を研究するしかないでしょう。
東大は過去の出題と似たものを出題してきます。
そのため、過去問演習がそのまま対策になります。
過去問演習のおすすめは
東大世界史27ヶ年です。
全て解き切るのには時間がかかり過ぎるかもしれませんが、各大問毎にまとめられているので、大論述同士を比較しながら見比べるだけでも対策になります。
東大の過去問を徹底的に学ぶには、こちらの方が向いているかもしれません。
駿台の渡辺先生と茂木先生の詳しい解説がありますから、解説を読むだけでも価値があります。
論述に関しては以下の記事に対策をまとめているので、参考にしてみてください。
第二問の対策
第二問は短文記述です。
ここは、幅広く論を展開する余裕はないので、問いに簡潔に答えましょう。
そのために有効なのが、上記の逆向き一問一答です。
難しい用語ではなく、基礎用語のところだけでいいですから、しっかり取り組みましょう。
また、地図問題が出題されることもあります。
教科書の地図だけでなく、資料集を利用して、地図問題に対応できるようにしましょう。
資料集は学校の授業で使っているもので構いませんし、別のものがよければ
山川の世界史図録か帝国書院のタペストリーがいいでしょう。
この二つは学校で採用されていることも多いですけどね。
第三問の対策
第三問は短答問題です。
一部短文記述もありますが、稀ですね。
ここは合格ラインにたどり着くには、ほぼ全答できなければなりません。
しかし、用語集の出題頻度が低いものは出ませんので、基礎をしっかり押さえておくことが重要です。
対策としては、普通に一問一答を解くか、京大の第2問、第4問や私大の過去問に取り組んでみましょう。
最後に
東大の問題と聞くと物怖じする人も多いですが、シンプルかつ良問が多いのが,東大です。
二次試験で英数国に地歴2科目を受験する必要があることを考えると、世界史ばかりに時間は使えません。
しっかりとした計画と方法で、東大合格に向けて頑張りましょう。