中学・高校生活での最重要事項は定期テストでしょう。
テストの成績で評定が決まり、高校・大学への進学に大きな影響を与えます。
今回は、定期テストを作る立場から定期テストについて書いていきます。
先生方はこんな作り方もあるのかと参考にしてもらえればうれしいです。
中学・高校の定期テストの作り方
問題集を解きまくる

まず、日頃の授業準備からそうですが、学校の先生は問題をたくさん解かねばなりません。
中高の場合、自分の専門分野を担当することが多いので、既に知っている内容がほとんどですが、それでも問題集を用意して、解いてみるべきです。
それはなぜでしょう?
担当する科目を深く理解するためです。
問題集には様々な問題が載っていますが、問われ方は様々です。
答えが同じ問題でも、問題文が異なると違う頭の使い方をしています。
そういった多様な考え方を生徒にしてほしい、身につけてほしいと思っているため、先生は問題を解きまくらないといけない訳です。
特に、高校の定期テストでは、大学入試が良い参考資料になっています。
多くの問題集は、有名大学からの出典が多いですよね。
あれは、“大学受験をするから過去問を解いておけ”というものではなく、本質を捉えた良い教材であるから載せているのです。
以下、僕が世界史の問題を作るのに参考にしている筑波大の問題です。
授業での発言を思い出す

ここは、人によると思うのですが、僕はテストで何を問おうか考えながら授業をしています。
この内容は絶対に説明形式でだそうとか、ここは選択形式の正誤問題の方がいいなとか、考えながら喋っています。
余裕がある時は、板書ノートにメモしていますが、うっかり忘れていることもしばしば。
ですので、授業で何を話したか、どんな感触だったかなどを思い出す時間が必ずあります。
いざ、問題作成!その前に・・・

上記のことをすれば、問題作成をする下地が整ったことになります。
しかし、快適に問題作成に入る下準備をしておくと良いでしょう。
生徒を混乱させないためのやさしさもあります。
具体的には、作成ソフトの設定です。
Wordを例にしましょう。(中には熱い一太郎愛にあふれた方もいらっしゃいますが、僕は使いません)
まず、表紙

学校によっては、形式が決まっているところもあるようですが、うちは自由なので画像なんかもいれてもよいでしょう。
ただ必ず入れた方がよいのは、注意事項。
解答欄から出ても良いのか、漢字とひらがな表記の区別など試験中のありがちな質問や採点時の基準は表紙に書いてしまうのがいいでしょう。
試験後に生徒から何か言われても、「注意事項に書いてあっただろ」と突っぱねられますからね。

続いて問題文
僕は、MS明朝の10.5ポイントで作成し、ページ番号も必ず振っています。
中学生向けの場合だと11〜12ポイントでもいいでしょう。
問題番号はインデックス機能に“問◯”という形を登録しておいて、揃える形にしています。

僕は社会科なので、問題文の空欄補充問題が多いのですが、語群を作る際は、表を使います。
外枠だけ残して、中は罫線を表示させないか、白色にしてしまうときれいに語群が作れます。
問題文の傍線番号や空欄番号をフィールド機能を使って作成する先生もいますが、慣れていなければ、手打ちの方が早いです。

最後に解答用紙(画像ではページレイアウトが崩れてしまってますが、きちんと調整できます。)
解答用紙は、僕はエクセルで作ります。
データを集めるわけではないので、エクセル方眼をフルに使いましょう。
用紙サイズを設定したら、横が24個or25個のセルになるように調節します。
個数の理由は一行あたりの問題数を3問でも4問でも5問でもきれいに作れるから。
縦はそこまで気にしなくてもいいと思いますが、こだわりがなければ正方形にしておけばいいでしょう。
問題作成

ここからは、教科によって大きく異なるので、社会科に絞って話を進めます。
問題は単元やテーマを一区切りの大問として構成し、100点に持っていきます。
高校内容だと100点満点を超えてしまうことも多く、150点満点の100点換算なんてこともままありますね。
僕の場合は、単元ごとのリード文を作ってしまいます。
穴抜きや論述・説明問題の構想は頭にありますが、まずリード文を作り、土台を作ります。
その後、空欄補充での穴抜きや説明問題ようにリード文を削る作業を行います。
これを繰り返していくわけです。
リード文作成には、問題集や入試過去問を参考にすることも多いですが、教科書を使うことはあまりありません。
リード文として問題集のものを活用するのもいいでしょう。
リード文をいちいち手打ちするのはツライときはスキャンしてOCR機能を利用しましょう。
僕はマウススキャナーを使っています。OCRの精度も高く、便利ですね。
問題完成!安心はまだ早い

さて、問題が完成しました。
解答用紙もできたし、これでオッケー、解放されたとなるのは少し早いですね。
ここからは自分の問題を自分で解く作業に入ります。
誤字チェックに始まり、解答欄のミスチェック、解答がうっかり問題文中にないかなどを確認していきます。
このチェックでミスが多いのが、番号の振り間違いと変換ミス。
かなり慎重に見ていかないと見逃します。
この際、一度自分で時間を計測し、分量のチェックをします。
60分のテストであれば、自分で解いて30分かかるくらいで調度いいと僕は思っています。
模範解答も作成し、あとは採点というところまでくれば完成です。
いよいよ完成

完成した問題は厳重に管理しましょう。
漏洩なんてあっては困りますからね。
また、余裕があれば、参考にした問題集や入試問題をリストにしておくとよいでしょう。
次回以降の自分の参考にもなりますし、入試問題であれば、テスト返却時に「これは〇〇大の過去問だぞ」なんて言うと生徒の食いつきがいいものです。
ここまでの総作業時間は・・・

問題を解き始めるところから、最後の模範解答を作るところまで、どれだけの時間がかかるでしょうか。
僕の場合だと、一つにつきおおよそ10時間。
これが他の人に比べて長いか短いかはさておき、これだけの時間はかけているわけです。
ここで、テストを受ける生徒さんに考えて欲しいのが、それだけ準備をしている問題に、一夜漬けで対応できるのか、ということ。
僕は、自分の生徒に、試験作成にかかる時間と同じだけ勉強時間を取りなさい。と指導しています。
内容を理解している先生側がこれだけ時間をかけているわけですからね。受ける側もやはり時間をかける必要があると示せますね。
最後に

定期テストは受ける側にとっても、受けさせる側にとっても重いものです。
どちらともにしっかりと準備して、やる意味のある試験にしたいものですね。