大学受験を目指す高校生なら、高2ないしは高3時点で文系・理系の選択を行うと思います。
その際、大きなポイントとなるのが、「社会で何を選択するか」ですね。
各科目の特徴を簡単に触れながら、受験での有用性などを伝えていければと思います。
科目選択という岐路に立たされた高校生のみなさんの方位磁針となれば幸いです。
前回の地歴編に続き、今回は公民編です。内容が重複するところもありますが、ご容赦ください。
大前提:好きな科目を選ぶ
はい、これが一番大事です。
現時点で好きな科目が明確にあるなら、それを選択してください。以上。
え〜っと。拍子抜けする結論ですね。
ですが、各科目の特徴以上に「好き!」とか「面白い!」という感情はとても大事です。
そもそも、「高校内容の教科書が理解できない」なんてことはありえないのです。
必死で考えて、眠気と戦いながら努力すればセンターレベルの問題は誰でも解けるはずなんです。
ここで大事なのが↑の「必死で考えて、眠気と戦いながら努力」です。
人間なかなか努力は続きませんからね。楽しいに越したことはないのです。
どうせやるならワクワクできるものを選びましょう!
1 政治経済

みなさんが思う“The 公民”と言えば政治経済でしょう。
中学校での公民と近く、国会の仕組みや人権、需要供給曲線などが目白押しの科目です。
政治経済に限らず、公民科は地歴に比べ、教科書・用語集の厚さが薄くなっています。
覚えるべき用語は比較的少なくて済むでしょう。
一方、憲法第○条や〇〇権、学者の人名など似通った用語が多い傾向にあります。
また、情報が常にアップデートされ続けるというのも大きな特徴です。
裁判事例が追加されたり、国際条約が改訂されることもしばしばあります。
ですので、
うまく自分で整理しつつ、ニュースや新聞などで社会の動きにアンテナをはっておく必要がありますね。
実際の試験では、あまり直近の時事問題は出題されませんが、古い参考書に頼っていると覚え違いをしてしまっていることもよくあります。
また、教科書の丸暗記では対応できないものもセンター試験などではよく出題されます。
しかしながら、日頃から政治に興味があったり、ニュースをよく見る人にとっては、下地となる知識がすでに身についていることも多いと思いますので、そういった方にはおすすめの科目です。
・情報のアップデートに注意。
2 倫理

地歴の中での世界史のように、人によって好き嫌いがはっきりでるのが倫理です。
倫理は思想史だけでなく、心理学や現代社会の問題まで幅広く、人について考える科目です。
多感な高校時代に、青年期の“葛藤”や“防衛機制”なんて扱われれば、気持ちを見透かされた気分になるかもしれませんね。
もちろん、青年期の心理も重要な単元ではありますが、やはり倫理は哲学者の思想の比重が大きくなります。
青年期で「倫理面白いかも」と思った人が、源流思想や哲学に入ったあたりで挫折するなんてことはよくあることです。
しかし、センター試験レベルであれば、思想の中身を完璧に理解する必要などありません。
そもそも他人の、しかも全く異なる国、時代の人の考え方ですからね。無理に理解しようとするほうが間違っているかもしれません。
その中で、キーワードをうまく拾い、なんとなく概念を把握することができれば、問題への対処もできるでしょう。
また、自分ならどう思うか、重ね合わせて考えてみることも倫理の醍醐味です。
そして、なんといっても倫理は世界史と相性がいい。
倫理で扱う思想家の時代背景を世界史で掴み、思想家の系譜で文化史を掴むという相乗効果が狙えます。
別に世界史と倫理を両方とらないといけない訳ではないですが、比較的重なっている部分も多いです。
・完璧に理解しようと思いすぎなくても良い。
・世界史と相性が良い。
3 現代社会

政治と経済、倫理を足して3で割ったような内容が、現代社会です。
正直なところ、倫理と政治経済を学べば、現代社会もカバーできます。
地歴でのB科目が倫理や政治経済で、A科目を合わせたのが現代社会というイメージで構いません。
ただ、上記2科目に比べて、時事問題が多いのが現代社会の特徴です。
今の世の中で起きている問題は何か、考えることが、この科目の目的でもあります。
具体的な内容は政治経済に少し寄っているので、政治経済と同じような対策を心がければ、結果は出てくると思います。
・時事問題が多い。
補足

最初の大前提で、「好きだと思える科目にせよ」と言いましたが、そうしてはいけない事例もあります。
地歴編では、私立大学志望で地理は難しいという話をしました。
公民編では、国公立大学受験で注意が必要です。
国公立上位校では現社が使えず、「倫理・政経」での受験が求められます。
また、東京大学の文系受験では、地歴科目から2科目を二次試験で受験しないといけないため、公民をとってはいけない訳ではないですが、社会で3科目学習する必要が出てきます。
一部例外的に、大阪大学の経済学部は、センター試験で公民がほぼ必須です。理転以外の志望者は必ず学習しないといけません。
一方、私立大学では、社会は政治経済のみでの受験が可能な大学・学部も多くあり、十分選択肢として考えられます。
その代わり、倫理の扱いは不遇でして、私立で倫理のみ受験はほぼなし。(中央大学の文学部くらい)
国公立でも、一橋大学の倫理政経、筑波大学の倫理くらいでしょうか。(どちらも高難度)
公民科目を選択する場合には、こういったデメリットを抱えているということを十分に理解しておく必要がありますね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は簡単に、各科目の概要を触れてみました。
各科目に特化した記事もあげていこうと思うので、よろしくお願いします。