東大・京大・一橋大を中心とした文系難関国公立大学では、二次試験でも社会の試験が課されます。
難関大学では、論述形式の問題が出題され、それに特化した対策を講じる必要があります。
今回は、論述に向けた勉強法を紹介します。
世界史論述におすすめの勉強法
現役生・既卒生を対象にしています。
基礎力を高めよう

高難度の論述問題に取り組むためには、当然教科書レベルの基礎知識が必要です。
世界史の論述は、“教科書の要約”ではなく、自分なりの解釈や論を展開することが求められます。
(特に東大・一橋)
難しい問題は、知っている人が少ない用語が聞かれるから難しいのではなく、みんな知っている知識からどう考えるべきかを問われているから難しいのです。
少なくとも、センター試験で7〜8割程度取れるだけの実力は必要になります。
(そもそもセンター8割では難関国公立のボーダーに乗りません)
しかし、現役生はなかなか学校の授業が進まず、教科書内容を網羅できていないことも多いでしょう。
ですので、自分で学習を進め、大まかにでも内容を把握しておくことが必要です。
そのために、通史を早い段階で学習できる教材を用意しておきましょう。
ナビゲーター世界史は、教科書を噛み砕いて噛み砕いて易しく言い回してくれている参考書です。
講義形式の語り口調で書かれているので、初学者にも読みやすい本になっています。
全範囲を網羅しようとすると、4冊になってしまうので大変ですが、読み進める価値はあります。
問題演習に取り組もう

教科書やナビゲーターなどである程度内容が頭に入ったら、問題演習に取り組みましょう。
ただし、まだ過去問に手を出すべきではありません。
ここでの問題演習は、基礎力を定着させるためのアウトプットと捉えてください。
センター試験の過去問は良質な確認問題となります。
二次試験を受けるにはセンター試験で高得点をとることが必須であるので、ここでセンター演習も兼ねておきましょう。
また、一問一答も有効なアウトプット手段になります。
ただし、使い方は通常と逆向きに使うこと。
答えから問題文をイメージできるか、を繰り返してください。
この問題文は、論述ではそのまま用語の説明になりますからね。
論述に挑戦しよう

基礎力が付いてきて、流れが把握できてくれば、いよいよ論述演習になります。
厳密には、ここから志望大学別に取るべき方策が異なってきますが、ここでは一般論をお話ししましょう。
まず、論述問題にいきなり取り組んで、すぐに書いてはいけません。
限られた字数の中で、どの要素を入れるのか、どう構成するのかを事前にまとめる必要があります。
タイトルが長いですが、この参考書では論述を書く上で必要な知識の確認と構成メモの作り方を学べます。
現代文でもそうですが、論述は闇雲に書いても点数はでません。
問いに対して、過不足なく、適切に答える訓練をしましょう。
過去問にチャレンジ

『みるみる論述力が・・・』などの問題集と並行でも構わないので、過去問にもチャレンジしましょう。
志望校の過去問がもちろん良い(京大は除く)のですが、字数多めで比較的演習に向いているのが、筑波大の問題です。
関連記事に筑波大の過去問をまとめてあるので、活用してみてください。
添削を受けよう

どの問題に取り組んだとしても、ぜひ添削は受けましょう。
僕も今まで、多くの受験生の添削をしてきました。
すると
- 事実とは異なることが書かれている。
- 指定語句が使われていない。
- そもそも、日本語として理解不能
みたいな指摘をよくするのです。しかも、それがセンター模試で9割近く取っているような子が。
書いている本人にはよくわかっているのでしょうが、他人の目からするとよくわからないなんてことはよくあります。
なので、解答はぜひ、学校の先生や予備校の先生に見てもらいましょう。
また、友人同士で解答を読みあうのも効果的です。
題意に沿った解答になっているか、分量のバランスはどうかなど、他人の添削をすることで論述力はさらに上がります。
解答作成や添削する際には、何か参考資料がないと困ります。
僕が添削の手元に置いているのが、
この参考書です。各国の流れが綺麗にまとまっているため、教科書よりも論述に向いた整理がされています。
留意点
いつから取り組むべきか
通史の勉強は早ければ早いほうがいいです。できれば夏までに終わらせておくことが理想ですね。
論述の演習は、通史と並行でもいいですが、夏の冠模試(東大オープンや京大実戦など)を受ける人は、GW明けから6月くらいから始めたらいいでしょう。
特に現役生にとっては、夏の模試は自分の出来なさを実感するためにあると思っていいので、時間をかけすぎない方がいいです。(その時間があるなら他教科をしましょう)
11月からセンターまではセンター特化で構わないと思います。
上でも述べたように、センターの勉強が二次に役立たないわけがありません。
論述演習はやったとしても週に1題くらいでしょう。
センター後は当然、論述特化です。
たくさん書いて、たくさん添削してもらいましょう。
よくある勘違い
論述対策が必要な受験生によくある間違いがいくつかあります。
- 教科書を軽視する。
- 難しい用語を覚えようとする。
- テクニック論に走る
代表的なのはこれくらいでしょうか。
早慶などの私立大学は教科書内容を大きく逸脱したことも聞いてきます。
一橋大学も用語集で頻度1のような用語を聞いたことがあります。
しかし、それらが出来るようになる努力と、基礎をきちんと固める努力のどちらが合格に近づくか考えてみてください。
数年前に一度出た、流れに大きく影響しない出来事や人物よりも、大きな転換点を体系的に押さえる方がよほど重要です。
最初にも書きましたが、論述の基礎は教科書です。しっかりとした基礎の上に実力を積み重ねましょう。
最後に

世界史の論述問題は確かに難しいものです。
しかし、世界史に限らず、難しい問題に真剣に取り組めば、その教科・科目の本質・核が見えてきます。
そしてその本質は「とても面白い」
受験勉強は大変な苦労がありますが、「面白さ」を見いだせるくらい頑張ってみてください。