世界史論述対策 第2回 【京都大学1997年度-3(a)】

世界史
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京都大学1997年度-3(a)

 世界史において都市は、人間の集団生活の形態としてきわめて早い時期から、また様々な地域で出現するが、その性格は多様である。シュメール人の都市国家、ギリシアのポリス、中世ヨーロッパの都市の各々の特色を、相違を明確にしつつ200字以内で述ベよ。

解説

 この問題では「〜各々の特色を、相違を明確にしつつ〜」とあります。「特色」を述べるのはさほど難しいことではありませんが、「相違を明確に」するとなると少し話が違います。ずらっと特色を並べるだけでは題意に沿った解答とはなりません。数ある特色の中から同じカテゴリに属するものをピックアップしてくる必要があります。

 これは「比較せよ。」系統の問われ方とも共通するところがあり、同じカテゴリでないと比較したことにはなりません。条件の違いから言うと、「比較せよ」の方が「相違を述べよ」よりも緩くなります。比較だけならば、「○○で共通している」という書き方もできますからね。

 そこで、もう一度問題文を見ると、シュメールの都市国家・ギリシアのポリス・中世ヨーロッパの都市の違いを同じカテゴリ内で述べていくことが必要です。3つの都市を比べていきますから、構想メモを作って整理していきましょう。

論述ポイント1

 まずシュメールの都市国家から見ていきましょう。

 シュメールの都市国家といえばウル・ウルク・ラガシュなどの名が浮かんでほしいところです。ティグリス・ユーフラテス川流域の最初の文明になりますが、ここで文明についてダラダラ書く余裕はありません。聞かれているのは「都市国家」についてですから。

 では、シュメールの都市国家の特色を挙げていくと、

  • ジッグラトという宗教的建造物を持つこと
  • 専制君主がいること
  • その王が神権政治を行なっているということ

 などが挙げられます。

 ちなみに神権政治という言葉は世界史を学ぶ上でよくでてきますが、メソポタミアの神権政治とエジプトの神権政治は大きく異なります。メソポタミアの場合、王はあくまで神官ですが、エジプトでは、王は数ある神の一員です。
 よく授業でも取り上げられますが、ハンムラビ法典の法典碑にはハンムラビ王と太陽神シャマシュが刻まれています。シャマシュ神の方が偉そうに座っているのが資料集などでも確認できるでしょう。シャマシュ神は難関私大では問われますから、受験を検討している場合にはチェックが必要ですね。

 少し話が脱線しましたが、シュメールの都市国家の特色として挙げたものをカテゴライズすると、

  • 宗教的建造物について
  • 政治体制について
  • 宗教と政治の関係について

 くらいでしょうか。

論述ポイント2

 このカテゴリを意識しながらギリシアのポリスと中世ヨーロッパの都市を見ていきます。

 ギリシアのポリスは、

  • アクロポリスと呼ばれる神殿などが作られた丘がある
  • 王を持たない直接民主制
  • 宗教と政治は区分されたものの神託や祭典は行われた

 となるでしょうか。これはあくまでアテネ型のポリスをイメージしたものですので、スパルタ型でも良いと思います。スパルタ型だと政治体制が貴族政となりますね。

論述ポイント3

 中世ヨーロッパの都市は、

  • 広場を中心に教会や市庁舎があり、城壁に囲まれている
  • 商工人らによる自治が行われていた
  • キリスト教を信仰しつつも政治的な影響は少なかった

 などが挙げられます。

 もちろん他にも、所属する人々の身分制経済の仕組みなどを考えれば相違点は出てきます。資料集の該当ページを見てもらえれば写真や図になっていると思いますので、参考にしてください。

まとめ

 最後にこれらをまとめていく段階に入りますが、書き方は二通りあるでしょう。

 問題文にあるようにそのままシュメール・ポリス・中世ヨーロッパに分けて書く方法、もう一つは、カテゴリ毎に書く方法です。

 どちらでも良いとは思いますが、200字という短めの文量であることと、いちいちシュメール・ポリス・中世ヨーロッパという言葉を入れなければならないことから、この問題では前者をおすすめします。


第3回に続きます。


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