大阪大学 2001年度 世界史過去問

世界史

Ⅰ 中国と周辺地域との相互作用の歴史について述べた次の文を読み、それに関連したあとの問いに答えなさい。

 三世紀ごろから分裂・多様化していた中国は、北方・西方の遊牧民からの強い影響を受けつつ、隋唐時代になると再統一を実現し、きわめて普遍性の高い文明を作り上げて、周辺に大きな影響を与えた。唐の滅亡後になると、中華の座を奪おうとする強力な国家がつぎつぎと北方に現れたり、中国以外の漢字文化圏諸国でも独自文化や民族意識が発達するなど中華世界はふたたび多様化した。それに対し宋朝でも、漢民族独自の文化や経済活動が大いに発展した。

問一
 (イ)北魏や隋・唐は、五胡のある部族やその有力家系を中心に建国された。その部族名を答えなさい。(ロ)また唐よりのちの時代にも、中国東北方面から、中国内地全域にとどまらずその周辺にまで支配領域を拡大させた王朝を創始する勢力が再び現れた。この王朝における官人への統治政策について説明しなさい(五〇字程度)。

問二
 隋から唐の前半にかけての法制、官吏登用制度、土地制度、税制、郡制、宗教と、それが当時の日本にどのように受容されたか、またはされなかったかについて説明しなさい(二〇〇字程度)。

問三
 (イ)唐以前と宋以後の中国社会や文化には、「唐宋変革」と呼ばれるほどの大きな相違が認められる。たとえば宋代に儒学の主流が大きく変化し、のちの王朝ではそれをさらに批判する新しい儒学思想がおこった。宋以降の儒学の変化について説明しなさい(一五〇字程度)。(ロ)また、宋代の儒学は、周辺諸国でも官学とされることがあった。なかでもある国では、ある階層を中心に、他の思想や宗教を異端視し、近代にかけて、宋代の儒学を生活の規範として定着させた。その国名と階層名を答えなさい。

Ⅱ 古代より西洋の民主制(デモクラシー)は、成員間の平等を促進する一方で、多くの矛盾を内包していた。この点に留意して、次の問一・問二に答えなさい。

問一
 ペロポネソス戦争のころまでには、アテネでは民主制が確立する。現在の西欧諸国で一般的な民主制と比較して、アテネの民主制の特徴を述べなさい(八〇字程度)。

問二
 アメリカ合衆国第七代大統領に当選した、西部出身のジャクソンは、アメリカ社会の平等化に貢献したと言われているが、当時の社会はいろいろな問題点もかかえていた。ジャクソン登場後の、一九世紀前半におけるアメリカの民主制の特徴を述べなさい(一二〇字程度)。

Ⅲ スペインのゴヤ(一七四六~一八二八年)は近代絵画の祖といわれ、一九世紀ヨーロッパ絵画に大きな影響を与えた。たとえば、ナポレオンによるスペイン支配の一断面を描いた図A(次頁)などの晩年のゴヤ作品は、フランスのドラクロワ(一七九八~一八六三年)に影響を与え、一八三〇年フランス七月革命に題材をとった図B(次頁)などに代表される、新しい傾向の絵画を生んだ。

問一
 図Aと図Bに代表される新傾向の絵画は、通常、何主義絵画と呼ばれているか。

問二
 この新傾向絵画の特徴の一つは、豊かな色彩表現にある。図Aと図Bの作品を参考にして、この新傾向絵画の、色彩表現以外の特徴について説明しなさい(八〇字程度)。

タイトルとURLをコピーしました