大阪大学 2014年度 世界史過去問

世界史

Ⅰ 以下の会話を読み、下の問いに答えなさい。

甲(高校生):「先輩、このグラフのAとBはどちらが中国で、どちらが西ヨーロッパかわからないんですが。」

乙(先輩の大学院生):「ああ、去年の阪大の世界史問題だね。Bに対抗してワッハーブ運動が起こったっていうんだから、Bが西欧だとわかるよね。」

甲:「でも、GDPが17世紀に減って18世紀に急増したというと、いかにもAが西欧みたいに感じられるんですが。」

乙:「そうだね。でもグラフの注に、人口規模に一人あたり産出額を掛けてGDPを算出する、と書いてあるのがカギだと思うよ。(1)ヨーロッパではそのころ生産性が上がりはじめているだろうけど、中国のグラフはまだ、人口の増減に比例しているってことじゃないかな。」

甲:「そうか。中国で17世紀に人口が減って、18世紀に急増したってそういうことですね。」

乙:「現代の中国を理解するのにも、18世紀から続いた人口増はものすごく大事だよね。」

甲:「清朝の人口増加というと、(2)税制の変化によって隠れていた人口が表に出てきたと習いましたが、それだけじゃないんですね。」

問1
 下線部(1)の例として、18世紀のイギリスで始まった工業化(産業革命)があげられるが、そこでおこった燃料と動力、交通・輸送手段などの変化、鉄や衣服を作る新しい技術や生産形態、結果としておこった衣服の材質の変化などについて説明しなさい。ただし、人名や地名、特定の機械の名前などを書いてはいけません。「それまでの○○にかわって□□が使われた」などの大きな変化だけを書くこと(150字程度)。

問2
 下線部(2)に関連して、8世紀から18世紀までの中国の農民が負担した租税の制度の変化について、8世紀、16世紀、18世紀の3つの画期に注意しながら、説明しなさい。ただしどんな種類の税を何で納めたかや、どのような人々に課税されたかに注意し、解答には以下の語句をすべて用いること(150字程度)。

土地税   人頭税   穀物   銭   銀   成人男子   世帯

Ⅱ 下の絵は1615年から1618年にかけてインドで製作されたものである。ガラス製の砂時計の玉座に座り、光輪や天使に囲まれたムガル帝国第4代皇帝ジャハーンギール帝に謁見しようとする人々が描かれている。

問1
 皇帝に最も近い位置にいる人物は、説教や奇跡をとおして南アジアでのイスラームの浸透に大きく貢献した人々を象徴的に描いている。この人々を何と呼ぶか答えなさい。

問2
 謁見を求める人物のうち、一人は1600年に東インド会社が設立された国の王である。彼の国は、後にインド全土を支配した。この国王の名前を答えなさい。

問3
 15世紀から17世紀にかけての、ヨーロッパ諸国と南アジアおよび東南アジア地域との関係について説明しなさい。解答には以下の語句をすべて用いること(100字程度)。

大航海時代   セイロン   マニラ   オランダ

問4
 この絵が描かれた時代の前後のインドにおける宗教政策について述べなさい。解答には以下の語句をすべて用いること(130字程度)。

アクバル   融和   ラージプート   アウラングゼーブ

Ⅲ 人類史上、世界的に最も大きな被害をもたらしたと思われる伝染病としては、14世紀の黒死病(ペスト)と1918年に始まったスペインかぜ(インフルエンザ)などがあげられる。黒死病は、ヨーロッパや北アフリカに広まったが、中国でも多数の死者を出しており、アジアから病原菌がもたらされたと考えられている。スペインかぜは、推計5千万人以上の死者を出し、日本も含む全世界的流行となった。

問1
 このような世界的規模の流行を引き起こした要因の一つとして、地域間移動の頻度が増加したことが考えられるが、それぞれについて、最も重要と思われる点を述べなさい。その際、黒死病・スペインかぜに分けて説明すること(100字程度)。

問2
 黒死病によって、ヨーロッパでは人口が激減し、社会的に大きな混乱や変動が起こった。その内容を短期的影響と、数世紀にわたる長期的結果に分けて述べなさい(200字程度)。

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