ディズニーで読み解く世界史①【ウォルトの生い立ち】

ディズニー

ディズニー作品は見る人の心を掴んでやみません。

ディズニー映画が大好きだ!ディズニーランドに住みたい!!なんて人も多いですね。

とはいえ、ディズニーのお話をそのまま見て終わり、パークに行って終わりではもったいない

ディズニーという大きな文化はそれを読み解くことで、世界を知ることができるのです。

ディズニーをきっかけに世界の歴史を学んでみましょう!

今回は初回ということで、ディズニー作品の父、ウォルト・ディズニーの生い立ちから、世界の歴史をみていきましょう。

この記事で扱っている時代・出来事
・アイルランドの歴史
・イギリス宗教改革
・イギリス革命
・アメリカでのアイルランド移民
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ディズニーで読み解く世界史①【ウォルトの生い立ち】

ウォルト・ディズニーは1901年生まれアメリカ・イリノイ州シカゴ出身の稀代のエンターテイナーです。

そう彼は20世紀が始まるとともにこの世に生を受けました。

ウォルトの本名はウォルター・イライアス・ディズニーといい、一族はアイルランドからの移民です。

アイルランド移民は一般的にカトリック教徒がほとんどです。

ここでアイルランドの歪な構造をみておきましょう。

アイルランドの歴史

アイルランドは元来、ケルト系民族が多く、5世紀までにカトリックを受容してきました。

その後、8世紀の終わり頃からノルマン人の侵略を受けます。

12世紀にはプランタジネット朝のイギリスの支配を受けることになりました。

西ヨーロッパが中世から近世へと移り変ろうとしているころのアイルランドは高校世界史ではほぼ出てきません。

というのも、この時期はひたすらにイングランドからの圧力を受けています。16世紀にはイギリス国教会の創始者、悪名高き?ヘンリ8世がアイルランド王を自称し、貴族と対立しています。

アイルランドとイギリスの関係は宗教で見るとわかりやすい。というよりそれ以外にない。

イギリスの宗教改革からみていきましょう。

イギリス宗教改革

ヘンリ8世は自身の離婚問題からカトリックを脱退し、首長法を出してイギリス国教会を創設しましたが、中身はカトリックに近いものです。カトリックとは違えど決してプロテスタントではないのです。

カトリックとプロテスタントの大きな違いは教会の重要性です。

カトリックは教会中心主義の儀式が形式的、プロテスタントは聖書中心主義の信仰心が問われます。

イギリス国教会はカトリック的な儀式形態をもちつつ、ヘンリ8世の息子、エドワード6世の時代に聖書の翻訳事業を行い、プロテスタント的な要素を取り込んでいます。

聖書の翻訳というと、プロテスタントの祖ルターと同じですね。

その後、ブラッディ・マリーで有名なメアリ1世がカトリックに戻そうとしますが、一代限りで終了します。メアリ1世はスペイン系の血筋なのでカトリックへの信仰が強かったのです。

メアリ1世が亡くなったあとは、エリザベス1世が王位につきます。彼女の時代にイギリス国教会が確立するのです。統一法が出され、イギリスの国教が国教会に統一されたからですね。

イギリス革命

エリザベス1世の時代に大陸側のフランスではカルヴァン派であるユグノーが信仰の自由を求めて国王と戦っていました。

彼らの一部が海を渡り、イングランドにもプロテスタント系住民が増えていたのです。

そして17世紀になるとステュアート朝のジェームズ1世が国教会を支持し、絶対王政を強行します。

プロテスタント教徒たちは国王と戦うものと国外に移住するもので分かれました。

国外に移住するもので有名なのが、1620年に北米に向かったピルグリム・ファーザーズです。

ここからアメリカ合衆国ではプロテスタントが主流になっていくのです。

話をイギリスに戻すと、ジェームズ1世とプロテスタント教徒が中心の議会との対立が深まっています。これがジェームズ1世の息子のチャールズ1世の時代に衝突します。

議会派をまとめ上げた人物がクロムウェルという熱心なプロテスタント。

彼は、1649年、チャールズ1世を処刑し、イギリス史上唯一の共和制を成立させます。

これがピューリタン革命で、一連のイギリス革命の最初です。

彼の政治方針は至極真面目である種狂信的なまでにプロテスタントを支持するものでした。

彼の政策の一つがアイルランド侵攻です。

17世紀半ばにアイルランドは完全にイングランドの支配下に置かれ、本格的にイングランド住民が移住してきます。

こうして、アイルランドには元来のカトリック教徒と移住してきた国教会信徒の両方が住まうことになったのです。

話をウォルトに戻しましょう。

その後のアイルランド移民

ウォルトはアイルランド移民の子孫ですが、ピルグリムファーザーズのようなプロテスタント系の人たちをアイルランド移民とは言いません。彼は特にスコッツ・アイリッシュと言います。

ウォルトの祖先は、カトリック系の人々なのです。

カトリック系のアイルランド移民は19世紀半ばのジャガイモ飢饉で移住してきた人々です。

彼らはアメリカ社会にとって言わばよそ者扱いを受けます。

後発組の移民である彼らは職を選ぶ余地がなく、警察官や消防士など危険な仕事に従事していきました。

ウォルトの生み出した世界で最も愛されているキャラクター、ミッキーもアイルランド系男性によくつけられるMichaelの愛称です。

当時は、アイルランド系の男性をミッキーと呼ぶことに侮蔑的な意味を含んでいたようなので、その意識を取り払っただけでも、ウォルトの果たした功績は大きいわけです。

その後、アイルランド系の人々はイングランド系などの人々と混血し、カトリック教徒ばかりというわけではなくなっています。

アイルランド系アメリカ人には他に、大統領のジョン・F・ケネディやモナコ王妃となったグレース・ケリーがいます。

まとめ

ウォルトはアメリカ人ですが、その血筋は大変な苦悩を味わってきたアイルランド人のものです。

アイルランド系に限らず、アメリカには多くの移民がいます。

人種のサラダボールと称されるあの国は建国からそう長い年月は経っていませんが、人々のDNAには世界中の歴史が刻まれているのかもしれませんね。

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