みなさんは学校の補習についてどうお考えでしょうか。
残された嫌な記憶や成績下位として見られる恥ずかしさなどマイナスなイメージが強いですかね。
補習を受ける側が嫌な思いをするのは想像に難くないですが、する側はどうでしょう。
なんのために教師は補習を組んでいるのでしょうか。
今回は補習の有用性を生徒側、教師側両面から考えていきます。
学校の補習は必要ない?
結論から言うと、必要です。
ただし、きちんと条件を踏まえないと逆効果に陥ることもありますので、順に見ていきましょう。
教師側のメリット

補習は教師側から行うことが多いですから、まず教師側のメリットに触れましょう。
- 自主的な勉強ができない、成績が振るわない生徒の勉強時間を増やせる
- 授業内に扱えなかった内容を扱える
- 生徒とのコミュニケーションが深く取れる
おおまかに3つ挙げました。
自主的な勉強ができない、成績が振るわない生徒の勉強時間を増やせる
これが補習の大部分の要因でしょう。
教師側からすると、テストで悪い点はとって欲しくないですし、出来ればその教科・科目を積極的に勉強してほしいものです。
宿題をやってこなかったり、復習が不十分でテストの結果が芳しくない生徒には、居残り勉強や再テストを課しますね。
もちろん、強制的に勉強させることは悪いことではありませんし、適度な負荷も必要です。
宿題などの提出物は、期限にルーズにならないという生活態度の教育にも必要でしょう。
しかし、この「強制」が良い学習リズムの妨げになると僕は考えます。
こういった補習は何故か単元の最初から確認や基礎から復習といった形になっていません。
根本がわかっていない生徒に問題を解かせても、再テストをしてもできるようにはならないのです。
授業内に扱えなかった内容を扱える
これも補習では多いですね。
特に受験期に入った高3向けに開講されがちです。
授業内でのとりこぼしやより発展的な内容を扱うための補習は、プラス思考で良い面が目立つかもしれません。
当然、向学心の強い生徒と研究熱心な教師がスクラムを組めば、本当に実りある時間になるでしょう。
ただし、こういった補習は得てして、教師の自己満足に陥りがちなのです。
生徒をどこまで持っていくか、生徒の意気込みと実現可能性を天秤にかけ、内容を決めていないならば、その補習は教師の独演会に堕します。
生徒とのコミュニケーションが深く取れる
僕はこれが一番の補習の強みだと思っています。
担任をしていてもなかなか大人しく、物静かな子の情報が入ってきません。
逆に、騒々しい子やヤンチャな子はそういった色眼鏡で見てしまっているかもしれません。
クラス全員がいない、少人数での生徒とのコミュニケーションを取る時間は、意外と教師にはないのです。
そこで補習を行えば、人数が少なくなる分、大人しい子も積極的に発言するかもしれませんし、元気な子のナイーブな一面が垣間見れるかもしれません。
生徒と関わる密度を高められることは、補習の大きなメリットとなります。
生徒側のメリット

一方で、生徒にはどんなメリットがあるでしょうか。
- 授業時間外で勉強時間を確保できる
- わからないところを聞きやすい
- 効率よく勉強できる
と、教師側と同じく3つ挙げました。
教師側のメリットはそれぞれ補習でなければ得難いものでしょう。
しかし、生徒側のメリットはそうではないのです。
仮に、生徒に自主的に勉強する意思が強くあれば、効率よく勉強するノウハウがあれば補習を受ける必要などないのです。
では、生徒にとって補習は無意味なのでしょうか。
僕は、この記事の最初に「補習は必要である」と結論づけています。
生徒にとって必要な、有益な補習のあり方を紹介して、この問いの答えとしましょう。
双方のデメリット
補習のあり方を提案する前に、教師側・生徒側双方のデメリットに触れておきます。
- 時間がかかる
これ以上のものはないでしょう。
教師も準備や実際の補習時間が取られます。やるとすれば放課後ですからね。定時退勤がまた遠のきます。
生徒も時間には敏感です。彼らの時間も当然有限ですし、一日中授業を受けていれば疲れも溜まっています。
生徒が補習を嫌う一番の理由は帰りが遅くなることですからね。
学校現場ではまだまだ時間は無限にあるという前提で成り立っているシステムは多々ありますが、「費用対効果」を考えれば、時間をかけないことが理想となりますね。
理想的な補習

教師側のメリット、生徒側のメリット、双方のデメリットを鑑みて、僕の考える理想的な補習のあり方を紹介します。
自習スペース化
一つ目は、自習スペース化です。
生徒が補習を嫌がるのは、時間の制約とともに、行動の制約です。
自分がやりたいことができない、適切なタイミングでリフレッシュできないというのはなかなかにストレスでしょう。
そこで、教室を自習スペースとし、教師もそこに常駐します。
生徒の勉強の様子を見つつ、自分は教材研究や生徒の目に触れても良い事務作業をしていればいいでしょう。
生徒の勉強法で気になることや、生徒に質問が出てくれば適宜教えてあげればよいのです。
監視というよりも見守り型の自習監督として、その場にいてあげましょう。
中学生や高校1年生向けに良い形だと思います。
生徒提案型補習授業
もう一つが、生徒提案型補習授業です。
教師から補習を提案するのではなく、生徒からどんな内容で補習してほしいか提案させます。
時間帯や内容、人数は状況に応じて違うでしょうから、先生のできる範囲で応えてあげれば良いと思います。
本当に生徒の足りないところだけ教えられますし、自分で言い出したことですから生徒のやる気も違います。
密度の濃い時間となることでしょう。
高校2年生以降や学習意欲の特に高い生徒向けの形だと思います。
最後に

補習というとマイナスをゼロに変えるイメージが強いですが、ゼロをプラスに、マイナスをプラスに変えていける形を模索しています。
また、補習はとても有効ですが、教師が出しゃばりすぎると、生徒は閉口します。
何かさせていないと不安な気持ちはよくわかるのですが、あえて何もしない努力を。
教師が安心するための補習であってはいけないと胸に刻みたいですね。