世界史の年号は覚えるべきか

世界史

世界史に限らず歴史の勉強で敬遠されがちな“年号”

「894年:ハクシに戻そう遣唐使」や「1549年:イゴヨク広がるキリスト教」とか覚えた記憶のある人も多いでしょう。

では、世界史では年号を覚えるべきなんでしょうか

受験世界史に絞って見ていきましょう。

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世界史の年号は覚えるべきか

結論からいうと、覚えるべきです。

もちろん全ての出来事を覚えるのは厳しいですが、できる限り年号は覚えたほうがいいでしょう。

なぜ年号は覚えた方がいいのか

なぜ年号を覚えるべきか。その理由を見ていきます。

それは世界史がヨコの繋がりをとても重視しているからです。

世界史が難しいと言われている要素の一つに、同時代史的なものの見方があります。

○○と同じ世紀に起こった出来事として正しいものを選べ。的なやつですね。

これは試験に出るから重要というよりも、“世界”史を勉強する上で当然の見方です。

同じ時代に何が起きているのか、遠く離れた地域の出来事が後にどう影響してくるのかを学ぶことが世界史を学ぶ醍醐味ですので、試験では当然出題してきます。

具体例で見てみましょう。

例題:2017年度 センター本試

これは2017年度のセンター試験本試 第1問の問8です。

近年よく出題されるグラフ問題ですが、年号を覚えていなければ対処できません。

aの「第一次世界大戦後」では第一次世界大戦が1914〜18年と覚えていなければどの時期を見ればいいかわからないわけです。

bの「第2次五カ年計画」も1933〜1938年というのがわかっていればすぐ解けます。

推測でも解けないことはないですが、歴史はあくまでも事実の積み重ねであることを考えれば、年号は暗記することが王道だと言えるでしょう。

ちなみに先ほどの問題の答えは③です。
ドイツがイギリスの生産量を上回ったのは1905年頃ですし、第2次五カ年計画の最中にソ連の生産量が伸びていることがわかりますね。

どの程度覚えればいいのか。

目指すレベルや大学によって異なってきますが、300〜500ほど覚えていればいいでしょう。

なんか多いなと感じた方もいるでしょうが、これは厳密に〇〇年と覚えるものだけでなく、○世紀と覚えるものも含みます。

センター試験レベルであれば、近現代を除き、細かな年号を問う問題はほぼありません。何世紀の出来事かというのが重要です。

そこで注目すべき世紀は

  • 2世紀
  • 7世紀
  • 13世紀
  • 17世紀

の4つです。

2世紀はヨーロッパでは五賢帝が、西アジアでパルティアが、インドではクシャーナ朝とサータヴァーナハナ朝が、中国では後漢が活躍した時代です。

7世紀はイスラーム成立の時代。アラビア半島を中心にヨーロッパからアジア全域に大きく勢力図が変化した時代です。

13世紀はモンゴルの世紀。チンギスに始まり、フビライの元に到るまでモンゴル民族の活躍のほとんどは 13世紀の出来事です。

17世紀はオランダの世紀。あくまで前半だけですが、オランダが大洋を支配した時代です。日本では江戸時代初期と同じ時代ですね。出島の長崎貿易に来ていたのがオランダ商船と考えればわかりやすいでしょうか。

と、このように全て年号を丸暗記しなくても大まかな時代は掴めますし、これだけでも試験で高得点は狙えます。

しかし、このあたりはほとんどの受験生が覚えてしまっているので、差がつきません。みんな出来るところなんです。

13世紀はモンゴルの世紀なんてのは2015年に東大の大論述で出題されていますし、オランダ史も2010年の東大大論述で出ました。

東大向けの世界史勉強法をまとめています。↓

ですので、次に覚えているか否かで差がつきやすい分野を紹介します。

差がつきやすい分野

年号暗記において差がつきやすいのは

  • 紀元前のギリシア・ローマ
  • 9〜15世紀のヨーロッパ
  • アフリカ全般
  • 東南アジア全般

の4つです。

どれも出題頻度がものすごく高い!というわけではないですが、比較的出やすい分野ですね。

紀元前のギリシア・ローマでは、民主化・身分闘争の年号を覚えましょう。あとはペルシア戦争とポエニ戦争。この辺りは他の地域との関係やテーマ史的な聞かれ方がしやすいですね。

9〜15世紀のヨーロッパは論述でよく出題されます。特に一橋の1番。カール大帝以降のフランク王国やオットー1世の事績、百年戦争に到るまで教科書通りに読み進めるとうまく整理できていないこともありますから、年号を覚えてきちっと整理することが重要です。

アフリカ全般は主に、イスラーム化についてです。北アフリカがヨーロッパや中東と密接に関わる一方で、サハラ以南やエチオピアあたりは直接関係を持っていません。そのため、教科書では序盤に出てくるものの、時代としてはズレているなんてこともあります。特にベルベル人のイスラーム化などは頻出なので要注意です。

東南アジアもアフリカと同様に他地域との関係で教科書には書かれがちです。中国やインドの影響を強く受けているのはいいのですが、その時の中国の王朝はどこか、インドの王朝はどこかをきちっと整理しないと前後関係が混乱します。年代をきちんと把握しておく必要がありますね。

年号暗記におすすめの参考書

流れ図で攻略 詳説世界史B

世界史における年号暗記の重要性を理解してもらえたところで、年号暗記におすすめな参考書を紹介します。

山川出版社の「流れ図で攻略 詳説世界史B」です。

このシリーズは単に年号を暗記するだけでなく、地域や時代ごとに“流れ”がフローチャートのようにまとめられているので、タテのつながり、ヨコのつながりが理解しやすい参考書です。

センターのみの受験生だけでなく、難関国公立や私大受験生にもおすすめできます。

タペストリー

次は帝国書院の資料集「タペストリー」です。

学校で買っている人も多いとは思いますが、資料集の図が乗っているページではなく、最初の同時代の地図が有用です。タペストリーは「○世紀の世界」という形で世界地図に当時の勢力図がまとめられています。ここに出てくる出来事や勢力範囲を見ておくことは、年号暗記の有効性をさらに高めてくれます。

番外:語呂合わせ

最後に番外編として、語呂合わせでの暗記について。

個人的には、あまり語呂合わせは好きではないのですが、世界史向けにもたくさん語呂用の参考書が出ているので代表的なものをリンクだけ貼っておきます。

 

最後に

世界史はストーリーで覚えることももちろん重要です。

しかし、その一方で他国との関係や時代の大きな転換点を見るには年号の暗記は欠かせないものになります。

覚えるべき年号は全て時代の変化だと思って、頑張って覚えましょう。

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